2020 年12 月号vol .4

財政破綻という財務省のプロパガンダ
家計と国の財政を一緒に考えてはいけない。
一般的には、家計の収入源は給料である。従って、支出は収入の範囲内で行う。
国の収入源をみた時、税金を一番の財源と思わされてきた。
教育費や医療費、年金などの支出を増やそうと提案されるたびに、政府の赤字を増やさずにどうやってそれを「まかなう」のだという反論がでてくる。
政府の収支と一般家庭や企業の収支とはまったく違うことを心に留めてください。
家庭や企業と違い政府は円を発行できる。これがどういうことか『財源』を心配する必要がないことを意味する。家庭や企業で金額の大きなものを買う場合は事前に資金を用意する。しかし、政府は事前に円を用意する必要はない。
政府は国民から円を受け取る前に、まずは円を与える。なぜなら政府が国民に円を与えなければ、国民は税金を払うためのお金がないからだ。
政府が円の唯一の供給源であるのに、国民から円を提供してもらう必要があると考えるのはおかしい。政府は望むだけの円をいつでも手に入れられる。
税金の目的は資金調達ではない。国民を働かせ、政府が必要とするものを生産させるためにある。政府が必要とするものとは、道路、水道、学校、病院などがある。
税金が存在する目的は、通貨への需要を生み出すことだ。政府は通貨を定め、税金その他の債務を通貨で支払うことを義務づけることによって、本来無価値の紙に価値を付与した。
通貨を発行する政府が求めるのは金銭ではなく、実体のあるものだ。欲しいのは税金ではなく、私たちの時間である。国民に国家のために何かを生産させるために政府は税金などの金銭的負担を課す。
[物々交換]
かつては物々交換から流通の不便さを解消するため貨幣ができたと教わった。しかし古代世界の研究で物々交換を基礎とする社会の存在を裏付ける証拠は見つかっていないとのこと。

通貨の発行者と利用者
通貨発行者に与えられる力を存分に活かすには、通貨を限りある資産(金や他国通貨) と交換しないこと。
自国通貨建て(日本が円で借金するのは問題ない)以外ではない借金はしない。
政府は不換通貨(金と交換できない)を発行し、自国通貨建ての借り入れしかなければ通貨主権を確立したことになる。通貨主権を手にした国は家計のように収支を管理する必要はなくなる。通貨主権を持つことは、日本のように1,000兆円を超える赤字があっても、破綻する心配はないということ。
変動相場制をとっている政府の場合には、自国通貨の価値を守る必要がないので、おカネを創って負債を返済できる。

ギリシャはなぜ破綻したか
2009年に政権についた社会民主党政権が、それまでの政権が財政赤字の統計を改ざんしていたことを暴露した結果、政府の累積債務に対する懸念が表面化し、国債の価値が暴落して金利が急上昇した。ユーロ圏に加盟したギリシャは通貨発行権を失った。
ギリシャ政府が発行する国債はすべて、事実上の外貨建て国債です。ギリシャは競争力のある産業が少なく、長年にわたって貿易赤字が続いていた。
貿易赤字を出すということは、外国から借金をすることになる。ユーロという共通通貨を採用したことで、通貨を切り下げて自国の生産物を割安にして、競争力を回復させることができなくなった。通貨高で自国産品が割高になり、外国製品が割安になることは自国の産業や雇用にとっては不利に働く。
フランスやドイツの銀行が為替レートの変動リスクを気にせずギリシャに多額の融資をした。そして、2010年の「救済融資」の条件として緊縮財政をとることが義務付けられたせいで、GDPはピーク時から3割近く低下し、失業率は27%を超え、経済停滞が続いた。医療費がカットされ、人々の健康状態が著しく悪化した。
変動相場制だったアイスランド
アイスランドはユーロ圏に加盟しておらず、自国の通貨(クローナ)を持っていた。
クローナはいったん暴落した後に下げ止まり、自国通貨を持っていたおかげで、積極的な社会保障政策をとることができた。その結果として需要が回復し、漁業や観光業の輸出競争力も回復して、インフレを起こすことなく経済は回復に向かった。
日本がギリシャから学ぶべきことは緊縮財政をとると経済の停滞が続き、人々の生命や健康が脅かされるということ。

財政破綻のデマを流す財務省
国債残高が大きくなりすぎて将来世代に負担させてはいけないという話は御用学者やマスコミが広めている。この話の元になっているのは財務省です。
【参考、財務省見解:2002年 4月】
日本の財政赤字が積み上がっていくなかで、外国の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げた時に財務省が反論した。「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と明確に記されている。それから2021年現在まで日本国債は低い金利で発行され続けている。
自国通貨発行権を持ち変動相場制をとっている日本は財政破綻しない。
財政破綻(増税賛成)を言い続ける御用学者(当時の肩書き)
伊藤隆敏、吉川洋、伊藤元重、奥野正寛、西村清彦、八田達夫:いずれも東京大学教授
樋口美雄、深尾光洋:慶応義塾大学教授 八代尚宏:日本経済研究センター
小林慶一郎:経産省
これらの経済学者たちは財政危機の予言をした。毎年7%の赤字を出し続ければ、あと8年以内に債務・GDP比率は200%に達する。この水準は国家財政の破綻を意味すると緊急提言をした。
政府の債務対GDP比率は230%を超えているが、200%を超えると「事実上の財政破綻だ」という予言が外れた。通貨発行権を持ち、変動相場制をしている政府は財政破綻はあり得ない。
まともな経済学者
金融政策だけでは経済を立て直せない、財政政策の必要性を説く学者はクリストファー・シムズ、ジョセフ・スティグリッツ、ポール・クルーグマン、ローレンス・サマーズクリスティーナ・ローマーの影響力のある経済学者たちが、財政拡張政策の必要性を説くようになった。
奇跡の経済教室から引用
エリザベス女王の疑問
世界金融危機の勃発から間もない2008年11月、エリザベス女王は、居並ぶ経済学の世界的権威たちに「なぜ誰も危機がくることがわからなかったのでしょうか」と尋ね彼らを絶句させた。
主流は経済学の理論は「一般均衡理論」をベースとしている。
「一般均衡理論」とは経済全体における市場の需要と供給が、価格メカニズムを通じて常に一致するという理論。生産物は常に他の生産物と交換できる、言い換えれば「供給は常に需要を生み出す」という法則を前提としている。この法則を「セーの法則」という。現実の世界では、供給は常に需要を生み出すということはあり得ない。
モノを作って売りに出したら、必ず誰かが買うなどということがあるはずがない。
「セーの法則」など現実には存在しない。「一般均衡理論」は現実を無視して、「セーの法則」は成り立つという「前提」を置いてしまう。
一般均衡理論が想定する世界とは、物々交換の世界、つまり貨幣のない世界である。
物々交換では負債は発生しない。負債がないということは「貨幣」もないということ。
貨幣を想定していないから、銀行制度も想定されていないので、金融危機を想定できるわけがない。
非現実的な経済理論が経済政策に影響をおよぼしていたことが、金融危機を引き起こした。た。と言える。

日本銀行
現在の制度上、政府が直接紙幣を発行することはできない。紙幣の発行は日銀が政府に代わって間接的に行っている。日銀が国立印刷局からお札を調達する費用は券種(千円、五千円、一万円)によらず1枚あたり約16円である。
一万円札を1枚発行する度に、日銀は9984円の利益を得ることになる。
日銀の出資金の55%は日本政府が保有しているため、日銀は政府の「子会社」である。つまり、日銀がお札を刷ると政府の利益になる。

日銀が保有する国債の利息は、そのほとんどが政府に還元される。日銀による国債引受けは政府にとっていわば「打ちでの小槌」、調達コストがほぼゼロの資金調達源である。政府は国債を発行してお金を集め、そのお金を使って公共事業を行う。その国債を日銀が引受けるということは、政府が直接お金を発行したのと同じ、政府にとって実質タダでお金を集める仕組みだ。
日銀がお金を刷って国の借金すべて引受ければ、国の借金はゼロになる。

政府はなぜわざわざ課税や国債を発行するのか
1.税金があることで政府は強制しなくても必要なものを手にいれることができる。
税金があることで国民はお金を稼ごうとする。
2.政府が税金を取らずにお金を大量に発行したらインフレを起こす。
政府が例えば、医療や教育へ支出する場合、それが物価上昇にならないように国民の支出能力を抑える必要があるかもしれない。財政支出の増加に合わせて税金を上げることで国民の支出を強制的に少し抑えさせ、政府の追加支出が入り込む余地をうみだすこと。それによって経済の実物的な生産能力に負担がかからないようにして、インフレ圧力を管理することができる。
3.税金は政府が資産と所得の配分を修正する強力な手段である。
アメリカや日本のように方法を間違えると、大企業や富裕層に減税して貧富の差が拡大する。所得格差や資産格差が広がっている。
4.政府は税金で特定の行動を助長したり抑制したりすることができる。
「悪行税」:好ましくない行動を抑制する。交通関係の反則金や、罰金など
国債を発行する目的
政府の支出をまかなうことではなく、金利を維持するため。
中国は2019年5月時点で1.11兆ドルの米国債を保有している。アメリカと中国の輸出入は 2018年でアメリカから中国への輸出は1,200億ドル、中国からアメリカへの輸出は5,400億ドル。アメリカは代金をドルで支払い、連邦準備銀行にある中国の口座に入れる。FRBの当座預金に預けているドルには利息が付かない。
たいていは「貯蓄口座」に資金を移す。その手段が米国債の購入だ。
FRBが中国の準備預金(当座預金)から有価証券(貯蓄口座)に移す会計処理にすぎない。アメリカは中国から借金をしているというより、中国にドルを供給し、それを米国債に転換させている。
中国は米国債の最大の保有者だがその保有額は全体の7%にすぎない。それにもかかわらず、米国債に対して影響力があると懸念する声がある。中国が米国債の購入を止めれば、アメリカは低コストで資金を調達できなくなってしまう。この考えは間違っている。アメリカに対する貿易黒字をゼロにしない限り、中国はドル資産を持たざるを得ない。アメリカへの輸出を削減すれば経済成長が減速するので中国はそれを望まない。中国が現状の貿易黒字を維持したければ、ドル資産を持ち続けることになる。中国は2016年6月から11月にかけて米国債の保有高を15%減らしたが、10年物米国債の利回りに「事実上変化はなかった」。
2008年の金融危機が起きた時のギリシャ国債は6%を下回っていた10年物国債の利回りは35%超に跳ね上がった。アメリカやイギリスの通貨主権国では2007年から09年には財政赤字が3倍以上に増えた。
GDP比3%以下だった財政赤字が2009年には10%近く(日本は173%)まで膨れ上がった。2008年7月時点の10年物国債の金利はアメリカ国債4%、イギリス国債5.1%、(日本国債1.5%)それは通貨の独占的供給者である政府の右腕となる中央銀行があるからだ。この安全装置が投資家に安心感を与える。中央銀行が国債金利をコントロールしているからだ。
政府はまず支出をし、市中に税金の支払いや国債購入のための資金を供給する。
例えば、支出を10万円だとする。政府が国民に10万円支出する。9万円を国民から税金として徴収すれば、政府の不足分1万円が国民の手元に残る。政府は財政赤字と同額の債券を発行している。重要なのは、この債券を購入するのに必要な1万円はもともと政府が赤字支出によって供給したものである。通貨発行者の支出は「自己調達」でまかなわれる。政府は資金が必要だから国債を発行しているわけではない。
国債を発行するのは当座預金(金利が付かない)を保有する人々が国債(金利が付く)に転換できるようにするためだ。目的は政府が資金を調達することではない。
金利を維持するためだ。
無制限に国債を発行してもよいということではない。適正なインフレ率は2%とされている。アメリカのFRB、欧州中央銀行、日銀はそろってこのインフレ率を達成しようとしてきた。しかし安定的に2%を達成できたところはない。特に苦しんでいるのは日本だ。間違ったデフレ対応で失われた20年によりGDPは20年以上横ばい状態である。世界中で日本だけが経済成長していない。
次月へ続く