2021 年1 月号vol .5

財政破綻
財政破綻論によって緊縮策がとられてきた。別名「財政健全化」と呼ばれる。
社会補償や公共事業などの政府支出を減らし増税して、財政赤字を減らそうする政策をしてきた。間違った政策の自民党政権により、社会補償は切り詰められ、消費税が 2 度にわたって増税された。
日本では財務省のプロパガンダにより、マスコミや御用学者(著名大学教授)を使い財政破綻論が拡散され多くの国民がそれを信じてしまった。
政権党の議員たちは医療や教育などへの増やして欲しいと有権者から言われる。しかし「財源がない」等を隠れ蓑にしている。有権者に同情するふりをしつつ、財政赤字のため「できない」という言い訳に利用している。

政府債務がなかったら
アメリカでかつてそれをしたことがある。1835 年、アンドリュー・ジャクソン大統領のときに公的債務が完済された。FRB が設立される前なので、中央銀行が債務を飲み込んだわけではない。赤字財政を転換し、債券保有者にお金を返済した。債務をすべて返済するまでには 10 年以上かかった。政府の財政が 1823 年から 1836 年にかけて黒字 だったからだ。この間、毎年政府支出を上回る税金を徴収していたため、新たな国債は発行しなかった。そして満期を迎えた国債は返済した。1835 年にアメリカは無借金になった。ただ同時に、最悪の景気後退に突入しようとしていた。
財政黒字は経済から資金を吸い上げる。財政赤字はその逆だ。財政赤字は過剰にならないかぎり、民間の所得、売り上げ、利益を下支えし、景気を維持するのに役立つ。
長期にわたって財政赤字がない状態が続くと経済は行き詰まる。
フレデリック・セイアー氏は「アメリカはこれまでに 6 度の深刻な不況を経験したがいずれも長期にわたって財政均衡が続いた後に起きている」
政府が債務を大幅に減らすたびに、経済は不況に陥ってきた。政府の黒字は民間が赤字になる。
アメリカ、イギリスや日本政府が発行するのは変動相場制の下での不換通貨なので、支出前に徴税や借り入れする必要はない。
税金が重要なのは、政府が支出をまかなうためではない。政府支出によってインフレの発生を防ぐのに役立つからだ。国債の売り出しが重要なのは政府の財政赤字をまかなうためではない。アメリカでは過剰な当座預金を除去することで、FRB が金利目標を達成するのに役立つからだ。当座預金に利子を付けるようになった今、FRB は金利目標を達成する手段として国債に頼ってはいない。誤った方法で国債を減らすのは避けなければならない。1835 年とクリントン時代のやり方はだめだ。
国家債務を減らすのに苦痛を少なくする方法は中央銀行が当座預金と引き換えに国債を買い入れるのだ。利子の付くドルを利子の付かないドルに転換する、なんの痛みもともなわない取引だ。FRB でコンピューターに打ち込むだけだ。

クリントン政権時代の財政黒字
1998 年以前の政府は赤字だった。クリントン政権時代に政府は支出する額より税金として回収する金額を多くした。政府の黒字は民間の赤字になるクリントン政権下の財政黒字が景気回復を妨げ、国民のお金が減少し、購買力は低下してしまった。

経済を理解していない経済学者
「奇跡の経済教室」「財政破綻論の誤り」「国債を刷れ」より引用するこれらの著書に出てくる学者等 12 月号の 10 人にさらに加えること佐藤主光、小林庸平、小黒一正、藤巻健史、浜田宏一など列挙したらきりがない。
財政危機を警告する経済学者はオオカミ少年(じじい)と呼ばれる。「オオカミが来る」と言っているが、来ないではないか。つまり、国債の価格は下がるどころか上がり続け ている。経済学者の予想は外れている。ーそうした批判だ。
経済学者たちは、なぜ財政破綻にならなかったのか、なぜ自分たちの予想が外れたのか について、説明することなく、もちろん反省もせず、相変わらず「財政破綻は必ず来る」と言い張っている。
ただ言っているだけなら経済を知らない学者で済むが、現実の経済政策に大きな影響 を与える経済財政諮問会議の委員に任命されている。そのためデフレ政策をしなかったため、日本は失われた 20 年により、国民の多くが苦しめされたままだ。

日本は「需要不足 / 供給過剰」のデフレなのに、生産性の向上や競争力の強化といった供給力を強くするインフレ対策をしてきた。この間違いは、主流派経済学の「一般均衡理論」とも関係している。
一般均衡理論には、正しい貨幣の概念がないので、主流派経済学者はデフレという貨幣にまつわる現象を正しく理解することができない。
一般均衡理論は「供給は、常に需要を生み出す」というセーの法則を前提としている。「物々交換の世界」つまり「貨幣のない世界」である。
いくら供給を増やしても、それに合う需要が生じるというならば、経済を成長させるためには、供給力を強化すればよいということになる。だから、主流派経済学者は生産性の向上や国際競争力の強化といった供給力を強化する対策しか言わない。政府が財政支出を拡大して、需要を創出するなどは不必要だということになる。
それにもかかわらず、政府が財政支出を拡大すると、需要が過剰になって、いたずらに物価が上昇してインフレになってしまうと危惧している。
経済を知らない経済学者の意見に従っているので、日本経済は停滞から抜け出せない理由が分かったと思います。

なぜ経済学者たちは間違いを直そうとしないのか
科学の世界では、事実によって否定された理論は捨てられる。まともな経済学者の弁ポール・クルーグマン氏(2009年)過去 30 年間のマクロ経済学の大部分は、「良くて華々しく役に立たなく、悪くて有害」とこきおろした。
ローレンス・サマーズ氏(2011年)主流派経済学の理論モデルに基づく論文は政策担当者にとっては無益であったと述べている。
ポール・ローマー氏(2016年講演)マクロ経済学は、過去 30 年以上にわたって進歩するどころか、むしろ退歩したと断じた。
ポール・ローマー氏によれば主流派の学者の特徴は
①途方もない自信
②異常なほど一枚岩となった共同体
③宗教団体か政党のような一体感
④他分野の専門家から隔絶された強烈な内輪意識
⑤他のグループの専門家の思想、意見、業績についての無視と無関心
⑥証拠を楽観的に解釈し、結果に対する大仰(おおげさ)あるいは不完全な言明を信じ、理論が間違っているかもしれないという可能性を無視する
⑦研究プログラムに伴うはずのリスクの程度に対する評価の欠如
政権政党、財務省、現実を分かっていない経済学者、等によって、日本はデフレなのに間違った政策(増税、緊縮財政等)をし、それをマスコミが同調した。

80年代後半、財政赤字は縮小し続け、90年には黒字に転じた。同じ時期、民間部門をみると、政府とは対照的に減少し続け赤字に転じた。民間部門の赤字はバブル景気によって過剰に債務が積み上がったため。政府の債務の減少は民間がバブルにより債務を増大させたことの裏返しである。バブルが崩壊し、さらに 90年代後半にデフレに突入した。デフレは貨幣価値が上がる現象だから、借金は実質的に膨らんでいく。民間は債務を減らし、債券をふやすようになった。民間の債権の増大の裏返しとして、政府の債務が累積するようになった。2000年代前半には政府の収支バランスが改善している。それと同時に、海外の収支バランスが悪化している。当時のアメリカが住宅バブルによる好景気で需要が拡大しその影響で、日本の輸出が増大したことを表している。政府の黒字は民間が赤字になる。政府の黒字は「財政健全化」と呼ばれ、良いように思われるが民間は債務が増大するので苦しくなってしまう。

12月号、1月号の要点
・政府と家計は同じに考えない(政府は通貨の発行権がある)・政府は自国通貨発行権があるので、自国建て国債が返済不能になることは理論上ありえないし、歴史上も例がない。財政破綻した事例は自国通貨建てではない国債。・日本はデフレなのにインフレ対策(財政支出の削減、消費税増税、規制緩和、自由化民営化、等)をやり続けた。その結果、デフレから脱却できず、経済成長できなかった。・財政赤字は国民の富と貯蓄を増やす(政府の赤字は民間の黒字)財政黒字は国民の富が減少し、購買力は低下し不況になる・財政赤字を拡大しても金利は上昇しない。デフレを脱却すれば金利は上昇する。
・国内民間部門の収支 +国内政府部門の収支 +海外部門の収支 =0
国内政府部門の赤字は「国内民間部門 +海外部門」の黒字を意味する。・財政赤字の大小を判断する基準はインフレ率である。・税は財源確保の手段ではない。
税は物価調整や所得分配など、経済全体を調整する手段・福祉や医療、教育などに予算を回して欲しい、と願っても財源が無いからできない、というごまかしにあう。しかし、軍事費などはいとも簡単に増額されてしまう。「財源が無い」という都合よく隠れみのされている。・日本において影響力のある経済学者は、ほぼ全員が経済のことを知らないか理解していない。その証拠として 20年以上の長きにわたって経済が停滞した。
次月へ続く