2021 年2 月号vol .6

MMT( 現代貨幣理論 ) 入門 奇跡の経済教室より引用
MMT(Modern Monetary Theory) は「貨幣」から出発する理論である。
単なる紙切れに過ぎない「お札」を「お金」として使ったり、貯めたりしている。
まず、政府は通貨を法定する。次に、国民に対して、その通貨で納税義務を課す。 政府は通貨を発行し、租税の支払い手段として定める。これにより、通貨は納税義務の解消手段としての需要が生じる。こうして人々は通貨の価値を認め、取引の支払いや貯蓄の手段としても利用する。こうして、通貨が流通するようになる。
そもそも、政府が国民から税を徴収するためには、国民が事前に通貨を保有していなければならない。では、国民はその通貨をどこから手に入れたのだろうか。通貨を発行する政府からである。政府は徴税する前に支出して、国民に通貨を渡していなければならない。国民に通貨を渡す前に徴税することはできないから。ということは、政府支出が 先にあって、徴税はその後ということ。これによって「政府は支出のための財源として事前に税を徴収する必要はない」ということを示した。

(1)政府支出の基本原理
まず、政府は中央銀行にのみ口座を持っている。また、民間銀行も日本銀行に「日銀当座預金」を開設する義務がある。日本政府が公共事業を行うために、A 建設会社に 10 億円を支払う場合、政府とA 建設会社の取引は、その会社の取引銀行をαとすると、αの預金が 10 億円が増え、それと同時にαの日銀当座預金も 10 億円増やされる。
政府が税を徴収する場合は、支出の場合と逆になる。つまり、納税者の取引銀行の口座 から税金分の預金が減らされ、その銀行の日銀当座預金も減らされる。
先ほどの公共事業を再度みると、政府支出はその支出と同額だけ、民間銀行と日銀当座預金の両方を増やしている。政府は最初に支出した 10 億円はどこから調達してきたのか、答えは、政府自身が作ったものである。政府はコンピューターのキーをたたいて、何もないところから 10 億円という通貨を作った。従って、政府は財政支出を行うにあたって税によって財源を調達する必要はない。それだけではなく、政府は国債を発行して財源を調達する必要すらない。そもそも、政府は自国通貨を発行できる。その自国通貨を他 から借りる必要はない。
政府は、なぜ国債を発行するのか。その答えは、金利を調節するため。
先ほどの公共事業を例にすると、α銀行の日銀当座預金は 10 億円増えている。民間銀行の日銀当座預金(準備預金)の最低必要額は、法律によって決められている。
準備預金が最低必要額を超えると金利が下がることになる。そこで、政府は金利水準を維持するため、国債を民間銀行に売却して、超過分の準備預金 10 億円を吸い上げる。国債は財源確保のためではなく金利を調節するために必要である。
①政府が支出を行うと、支出額と同額分だけ民間事業者の預金が増え、同時に、民間 銀行の日銀当座預金も同額だけ増える。
②そうすると、日銀当座預金の超過が生じて、金利が低下するため、政府は、国債を発行して、民間銀行に売却し、金利水準を維持する。
③その結果、財政支出はそれと同額だけ民間部門の預金を増やし、金利は不変となる。

(2)政府支出の実際
①政府は赤字財政支出を行うにあたり、国債を新規に発行して、民間銀行に売却する。なお、民間銀行が新規発行国債を購入するためには、あらかじめ日銀当座預金を有して いる必要があるが、この日銀当座預金を供給したのは、日銀である。
②民間銀行が新規発行国債を購入すると、その購入額分だけ、民間銀行の日銀当座預金が減り、政府の日銀当座預金が増える。
③政府が財政支出を行うと、支出額と同額分だけ、民間事業者の預金が増え、同時に民間銀行の日銀当座預金もまた同額だけ増える。つまり②で減った分が戻ってくるので民間銀行の日銀当座預金の総額は最終的に不変である。
④その結果、財政支出はそれと同額だけ民間部門の預金を増やし、金利は不変である。これが政府支出の実態である。
(1) ③と(2) ④とをくらべると同じ結果になっている。
つまり、いずれの場合も財政支出はそれと同額だけ民間部門の預金を増やしており、そして金利の水準は維持されている。
その結果から極めて大事なことがわかる。
「政府の財政赤字を供給しているのは民間貯蓄ではない」ということ。
実際の財政支出 (2) では確かに民間銀行が国債を購入してから政府支出が行われている。しかし、民間銀行は民間部門から集めてきた預金ではなく、日銀が供給した日銀当座 預金によって国債を購入している (2) ① 。
ですから、民間貯蓄は政府支出の原資ではない。その逆に、政府支出がそれと同額の 民間貯蓄を増やしている (2) ③ 。

租税は何のためにあるのか
自国通貨を発行する政府は税を徴収して財源を確保する必要はありません。そして実際 に税で財源を確保することなく、政府支出を行っている。
税は政府が納税義務を法定すると、その支払い手段である通貨に対する需要が生み出される。徴税のおかげで、通貨に相応の経済的価値がもたらされる。また、その結果として政府は通貨を支払うことで、政策目的の達成に必要な財・サービスを民間部門から 調達できる。
また、政府が民間に何かの仕事を頼んでその対価として通貨を支払うことで、仕事を生み出し失業や貧困を減らすこともできる。いわゆる景気対策である。
租税は物価を調整する手段でもある。例えば、租税が重ければ、納税のための需要が増えて通貨の価値が上がることから、人々はモノよりもカネを欲しがるようになる。そうすれば物価は下がる。増税はデフレ圧力を発生させる。
租税を軽くすれば納税のための需要が減って通貨の価値は下がる。減税はインフレ圧力 を発生させる。政府は税負担を操作することで物価を上下させることができる。
他にも租税はさまざまな政策目的を達成する手段として必要である。
累進所得税によって富裕層に重い税負担を課すことで格差是正の手段となる。租税とは国民経済を調整して、さまざまな政策のため必要である。

MMT はインフレを制御不能にするか
第一に日本は 20 年にも及ぶ長期デフレです。
このような長期のデフレは、戦後、他国に類を見ない。今の日本はインフレを懸念する 状況にはない。長期デフレの日本で「財政赤字の拡大はインフレを起こす」などと心配 するのは、長期の栄養失調の患者が「栄養の接種は肥満を招く」と心配するようなもの。 インフレの過剰を警戒しつつもデフレだけは絶対に回避しようとするのが正常な経済運 営だ。インフレが心配だからデフレのままでいいなどという判断は、あり得ない。
第二に平時の先進国で、インフレがコントロールできなくなるなどという事態は考え られない。
MMT批判者は「増税や歳出削減は政治的には容易ではないからインフレを抑えられない」と思っている。インフレを止めるのに別に政治的に難しい増税や歳出削減に頼る 必要はない。
具体的に説明しよう。
まず政府は例えば 2% という控えめのインフレ目標を設定する。
そして財政赤字を拡大する。インフレ率が 2% になったら政府はどうすべきか。
増税も歳出削減も必要ない。単に 2% 程度のインフレ率を維持するために予算規模を前年と同程度にすればよいだけ。そして、その後も予算規模を安定的に推移させればよい。これであれば増税や歳出削減と違ってはるかに容易だ。
しかもインフレ率 2% という目標値はあくまでも目安にすぎない。実際のインフレ率は目標値を超過して 4% 程度になるかもしれないが、そうであっても何の問題もない。また、所得税(累進課税)は好景気になると税負担が増えて、民間の消費や投資を抑制するという性格を持つ。このため、インフレになると、増税や歳出削減 をしなくとも、自動的に財政赤字が削減され、インフレの過剰を抑止する。
他にも、中央銀行による金利の引き上げによって、民間消費や民間投資にブレーキ をかけて、インフレを退治するという手段もある。
ちなみに、MMT の論者たちは、物価調整の手段として、課税以外にも「就業保証プログラムと呼ばれる政策を提案している。これは、簡単に言えば、「公的部門が社会 的に許容可能な最低賃金で、希望する労働者を雇用し、働く場を与える」という 政策である。「就業保証プログラム」は不況時においては、失業者に雇用機会を与え、賃金の下落を阻止し、完全雇用を達成することができる。
逆に、好況時においては、民間企業は、この「就業保証プログラム」から労働者を採用することで、インフレ圧力を緩和する。
こうして「就業保証プログラム」は雇用のバッファーとして機能する。
政府は同プログラムに対する財政支出を好況時には減らし、不況時には増やすことで、景気変動を安定化させる。これは、先ほど説明した所得税と同じ効果がある。 仮に増税や歳出削減が必要なほど高インフレになったとしても、日本政府が増税や歳出削減に踏み切れないなどという証拠はない。
実際に日本政府には過去 20 年間、高インフレどころかデフレを心配すべき状況だったにもかかわらず、消費税率を 2 度も引き上げ、公共投資を大幅に削減したという実績がある。これはおろかで不名誉な実績としか言いようがない。しかし、 日本政府が増税や歳出削減によってインフレを抑止できることを見事に証明して いる。デフレ時でもできるのに、どうして、高インフレで国民が困っている時にはできないなどと思うのか。
だいたい、歴史上、インフレがコントロール不能(ハイパーインフレ)になるという事例は数えるほどしかない。
しかも、そのわずかな事例もまた、戦争で供給力が破壊された場合、戦時中で軍事需要が過剰になった場合、独裁政権が外資系企業に対する強制収用を行ったために 供給不足となった場合、経済制裁により国内が物資不足となった場合など、極めて 異常なケースばかりだ。戦後の先進国で、財政赤字の拡大を容認したためにハイパ ーインフレを起こすようなおろかな国だというなら、日本はもはや先進国ではない。第三に、過去 30 年間、日本経済に限らず、先進国経済は「ムチ型」成長戦略を推進してきたために、インフレが起きにくい経済構造へと変化してしまった。
{参考}一国の成長戦略には「アメ型(賃金主導型)」と「ムチ型(利潤主導型)」の二つのタイプがある。
アメ型:労働者の給料が上がり、消費も増え、企業は売り上げを拡大し、経済が成長する。第 2 次世界対戦後から 1970 年代頃までの欧米先進国と日本で行われた。経済成長をさせる戦略である。
ムチ型:人件費を抑制し、効率化を追求し、企業利益は投資家への配当へ回す。
技術開発投資は行われず、技術は外から買って間に合わせる。経済成長はしなくなる。現在の資本主義は、インフレで悩んでいた 1970 年代以前とは、まるで構造が違う。
1980 年代以降、先進諸国では労働組合の交渉力が弱体化する一方、規制緩和や自由化による競争の激化、さらにはグローバル化による安価な製品や低賃金労働者の流入に より、賃金が上昇しにくくなり、インフレも抑制されるようになった。最近では IT や AI・ロボットなどの発達・普及がこの変化に拍車をかけている。
また、金融市場の規制緩和や投資家の発言力を強めるコーポレート・ガバナンス改革により、金融部門が肥大化し、投資家の力が強くなり、労働分配率は低下していった。つまり、政策的にマネーを増やしても、実体経済、とりわけ労働者には回らず、金融部門に流れていく経済構造になった。
その結果、1980 年代後半の日本、2000 年代前半のアメリカなどでは、好景気にもかかわらず、インフレ率は穏当な水準で推移するという現象が起きた。
好景気を牽引していたのは、肥大化した金融市場が生み出した資産バブルであり、賃金上昇や実体経済の需要拡大ではなかった。
このため、現在の日本の経済構造では財政赤字を拡大しただけではインフレは起きない可能性である。
MMT 批判者は「財政支出を拡大したら、インフレが止まらなくなる」などと懸念しているが、これは、過去 20 年間の経済構造の変化をまったく考慮していない時代遅れの認識に過ぎない。
今日、我々が本当に懸念すべきなのは「財政支出を拡大したにもかかわらず、インフレにならないこと」である。
したがって、財政赤字の拡大だけでは、不十分なのです。
財政赤字を拡大すると同時にムチ型成長戦略をやめて、アメ型成長戦略へと転換しなければならない。そして、賃金上昇や実体経済の需要拡大によって経済が成長するような経済構造へと改革しなければならない。
次月へ続く


知らないことを否定しない
知らないことを聞いた時に何の根拠もなく否定する人が数のなかにはいる。ほとんどの人はそれがいかに他人に「不快な思いをさせたり」「傷つけたりする」ことになるので しないと思う。
事実を自分で確かめることなく、うわさや想像だけで憶測で物事を判断したりしていませんか。憶測とは「確かな根拠もなくいい加減に推理すること」という意味です。
推測とは「自分が部分的にでも実際に得た情報を元に、物事の状態などを予想する」こと。推測には真実が含まれるが憶測には真実は含まれない。
憶測は予測する行動であっても、まったく真実が含まれない。従って、憶測で言うことはよくないということがわかると思います。憶測で言われた方は傷つくことがとても多い。
仕事などで憶測で行動した、その結果、それが取り返しのつかないことになった時「こうだと思った」では済まされない。
もし周りに、すぐ憶測で判断して物事をする人がいたら、自分も同じようにしていないか、チェックしてみる。
憶測で物事を判断しない理由
①正確さに欠ける
憶測は何一つ証拠や根拠となるものが無い。しかし、情報は色々調査してそれを根拠に推察し、道筋をたてて結果をだす。
②信用をなくす
憶測で物を言ったり判断している人は信用を失う。何の根拠もない話を人は信用しない。
③適当さが癖になる
憶測という行為自体が「適当に予想する」という意味。真実の見つけ方が分からなくなっている。
④根拠がない
憶測の話を聞いた人が「証拠はどこにあるのか、根拠は何なのか、なぜそう思うのか」と質問されたら、何も答えられなくなるでしょう。
⑤悪い方へ考える
⑥行動が無駄になる
⑦人間関係が悪くなる
⑧思い込みが激しくなる
⑨情報に振り回される
憶測で判断しないためには
「憶測で判断してはいけない」と思っている時点で既に一歩前進している。
憶測で判断してはいけないと、どれだけ言われても分からない人は考え方が変わることはまずないです。
判断する材料が無い状態であるので、まず、データや数字を見る。必ず、裏付けや証拠を集めてから行動する。
様々な方向から物事を見据えて判断できる目を持つ。
何の情報も無い状態では答えようが無いので、判断できない。憶測で言いたくないので、調べる時間が必要だと言えば相手は分かってもらえる。