2021 年10 月号vol .14

権力者の横暴を防ぐ憲法が危ない
『新型コロナ特措法の緊急事態宣言』と『自民党が壊憲して創設しようとする緊急事態条項』新型コロナ特措法の緊急事態宣言
法律では「緊急事態」という文言が随所に存在する。例えば、「警察緊急事態」(警察法)、「災害緊急事態」(災害対策基本法)、「重大緊急事態」(安全保障会議設置法)、「防衛事態」(自衛隊法)、「武力攻撃事態」(武力攻撃事態法)、「治安出動事態」(自衛隊法)等がある。補償をしないで私権を制限する、コロナ特措法、感染症法は問題点だらけである。
憲法 9 条や検察庁法・国家公務員法で法律解釈の常識を覆してきた人物なのに、今回に限って解釈の拡大ではなく立法でいくというのは変である。弁護士会や法律学者によると憲法改正(緊急事態条項)に向けた布石にしようとしているとのことである。

危機においてリーダーに求められることは 3 つある。 ①記者会見を開いて、必要な情報を発する ②専門家の意見を聞いてそれぞれの職務が力を出せるように調整する
③国民に負担をかけるのであるから、自らを律して言行一致をはかり、責任をとる
自民党政権は国民には外出制限、飲食店には休業要請等の制限をしておきながら、自分たたちは政治資金パーティや高級飲み屋で会食する無責任といい加減さ。
2020 年 4 月 7 日「緊急事態宣言」を発令した、記者会見で終了間際に「外国からの質問も一つ当ててください」と手を挙げた外国人記者の質問。「今まで世界はほとんどロックダウンしており、日本だけ天国に見えると思います。成功だったらもちろん国民だけではなく 世界から絶賛だと思いますけれども、これまで対策を講じた中で、一か八かの賭けが見ら れます。失敗だったらどういうふうに責任をとりますか?」
これに対し安倍総理は「これは例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものではありません」と発言。
「私や妻が関係していたということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」 答弁に辻褄を合わせるために、役人が隠ぺい、改ざんをした。本人は責任を取らずに逃げた。

自民党は国民の安心・安全は全く考えていない。国民が「自分たちのために政治をする党はどこか」を考えて投票することが大事です。
世界では国民や事業者に制限を課す場合はそれなりの補償をしています。先進国といわれる国の中で補償をきちんとしない国は日本だけです。

コロナ特措法及び感染症法へ罰則の導入コロナ特措法
「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」のもとで知事は営業時間短縮等の制限の 「命令」ができる。違反した事業者には 20 万円から 30 万円の過料を科すことができる。
感染症法
知事から宿泊療養・自宅療養の協力要請規定を設け、要請に応じない場合は入院勧告ができる。入院措置に違反した場合は 50 万円以下の過料を科す。
疫学調査に応じない場合は 30 万円以下の過料を科す。
国や知事が医療機関に医療関係者民間等の検査機関への患者受け入れを勧告できるとされ、勧告に応じない場合、医療機関名を公表することができる。

このようにコロナ特措法及び感染症法は罰則や公表という強権的手段で強制できるようにしている。

改憲問題対策法律家 6 団体連絡会(2021 年 1 月 20 日)より引用
特措法・感染症法の問題点
1 宣言発出要件が曖昧で総理大臣に丸投げされている
「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」などの非常に抽象的な要件に基づいているために、宣言発出の可否の判断が総理大臣に丸ごと委ねられてしまっている。今回の緊急事態宣言の再発出についても その曖昧な要件に加えて、それに該当するとした判断に十分な科学的エビデンスはあるのか、なぜ対象地域が 1 都 3 県であったのか、その宣言発出からわずか 5 日後に 7 府県を対象区域に追加するという判断は、裏返せば、最初の判断に誤りがあったのではないか、区域の追加を求めているその他の県を追加しないことに合理的根拠はあるのか、なぜ対象期間が 1 カ月なのか、宣言解除の要件は何か、なぜ営業の時短要請が飲食店のみに限定 されたのか、その対象から除外されたパチンコ店やライブハウスなど他の業種に対する 法的根拠のない協力の「呼びかけ」とは何かなど、多くの疑問に答えが与えられないまま残されている。
2 国会での調査・審議の仕組みが全く欠けていること
総理大臣の判断を支えあるいはチェックする仕組みがないことも問題である。緊急事態 宣言がもたらす結果の重大性にかんがみれば、国会による事前の承諾もしくはやむを得ない場合の事後の承認が必要とされ、総理大臣の判断の適否が国会において十分に調査・審議されるべきはずなのに、そのようなチェックの仕組みが用意されていない。そのため、総理大臣の独断や思いつき的なその場限りの対応が抑止できない。形式的になされる国会への 報告も、緊急事態措置を統括する総理大臣の出席を拒否したうえで、議員運営委員会に担当大臣が出席して説明することでお茶を濁している。その結果、総理大臣が緊急事態措置の 追加対象区域を「読み間違える」という大失態を招き、緊張感のなさをさらけ出している 始末である。
3 住民に対する私権の制限が「必要最小限」であるか疑問であること
緊急事態に際して知事が行う住民に対する外出自粛その他の協力要請は、憲法 22 条が保障する移動の自由を制限するものであるし、特定の施設管理者等に対する当該施設の使用の 制限や停止、催し物の開催制限や停止の措置は当該施設管理者等の営業に自由や財産権を 制限するのみならず、その施設の利用者である住民の集会の自由などの基本的人権を広く 制限する効果を持つものである。さらに、検疫のための病院や宿泊施設等の強制使用、臨時医療施設開設のための土地の強制使用など強制力を伴う強い私権制限も定められているが、それらの様々な制限が、特措法 5 条が要求する「必要最小限」の範囲にとどまっているかどうか、大いに疑問である。
4 事業者への補償が極めて不十分であること
事業者に対する休業や時短の要請、命令がなされた場合に、十分な補償の定めもない。 国及び地方公共団体に事業者に対する支援に必要な財政上その他の措置を効果的に講ずる ものとされるが、営業の自由や財産権の行使が制限されるにもかかわらず、憲法が要求する「正当な補償」はなされず、「協力金」という名の交付金の支払いにとどまり、しかも、 都道府県の財政事情に左右され、結果としてもたらされる地域的な不平等は憲法 14 条が補償する「法の下の平等」に反する疑いもある。それゆえ、特定の施設の使用の制限や 停止、あるいは特定の業種に対する休業や時短の要請や命令は、「正当な補償」とセットでなければならない。
結語
これら多くの疑問を置き去りにしたまま、罰則によって国民を威嚇し、新型コロナウイルス感染症を抑えこもうとする改正案は、上記の通り、そもそも立法事実としてのエビデンスを欠き、目的と手段の合理的関連性も疑わしく、重大な人権侵害を招く危険があり、結局新型コロナウイルス感染症について国民の理解を深め、国民の支持と協力の下に当面する危機を乗り越えようという民主主義・立憲主義の理念に反するというべきである。 政府のこれまでの新型コロナウイルス感染症対策の失政の責任もうやむやにし、また、昨年の緊急事態宣言の検証も反省もないまま、感染拡大の責任を国民に転嫁して、罰則を科す ような政府発表の改正案については、断固として反対であることを、ここに表明する。

自民党政府が本来なら行わなければならないことをしないで、その責任を事業者や患者、医療機関に押し付けている。しかも、警察や行政権力が市民生活に過度に介入することを許容し、監視社会、密告社会となっていく。罰則規定を設けることは問題である。
そもそも罰則等は人権を強度に制約するものであるから、正当な行政目的のための必要最小限度でなければならない。今回の法改定で罰則を設けることは、過度に人権を侵害している。