2022 年6 月号vol .22
無能政党の無策で 30 年間経済が停滞した日本
『日刊ゲンダイ』に掲載されたもので、自民党について、的を得ている記事があったので、引用します。
「全ての病根は自民党 野蛮な国ハレンチ政治とハレンチ議長」
ルールを守らず反則ありきの自民党政治
衆院議長という重責の自覚が欠如しているのか、もともと国会議員としての資質がないのかはともかく、細田のセクハラ疑惑が示しているのは、落ちるところまで落ちた今の日本の 政治の劣化、国会を愚弄している与党の姿勢、権力の横暴の表れだということだ。
第 2 次安倍政権以降、国会審議は形骸化し、ウソとゴマカシのオンパレード。歴代内閣が積み上げてきた法解釈を何の議論もないまま反故にし、閣議決定を乱発してやりたい放題。少数政党の意見はまるで耳を貸さず、審議時間だけを費やしたら強行採決してシャンシャンという独裁。
憲法の規定に基づき、野党が臨時国会の召集を求めても無視し続け、あろうことか総理大臣が国会で 118 回もウソをつく。「説明責任は私にある」「真摯に説明を尽くす姿勢が大事」とか言いながら口先だけで何もしない。そんなハレンチ政権をメディアはロクに批判もせず、ちょうちん報道でウソと詭弁を垂れ流す。
ワイドショー番組の中には「野党は批判ばかりだから支持が集まらない」などと、偉そう に解説しているコメンテーターもいるが、野党が苦戦を強いられているのは批判ばかりで はなく、今の与党がめちゃくちゃだから。国会をスポーツに例えれば、安倍政権以降の自民党はルールを守らず、勝つためなら反則も当たり前。その上、審判も抱き込んでいるのだから、ルールにのっとって戦う野党が太刀打ちできる状況ではないのだ。
不信任案で「野党分裂」大手メディアのトンチンカン報道
予想通り、内閣不信任案も、衆院議長不信任案もあっさり否決されてしまった。
それにしても異様だったのが、大手メディアの報道ぶりだ。〈 内閣不信任 割れた野党 〉〈 立民 際立った「孤立感」〉〈「切り札」 野党を分断 〉などと、2 つの不信任案を提出した立憲民主党を一斉にやゆしていた。まるで立憲民主党がとんでもない失態を犯したかのような報道だった。
しかし、大手メディアが問題にすべきポイントは “立憲の孤立” や “野党の分断” では
ないはずだ。メディアが焦点にすべきは、不信任案の提出が的を得ているのかどうか、なのではないか。内閣不信任案を提出した理由について、立憲民主党は「国民に安心を届ける 機会だった補正予算案においても経済無策を続け、国民生活の苦境を放置している」と物価高に対する岸田内閣の無策をあげていた。
客観的に見て、立憲民主党の主張は正しい。ところが、不信任案の中身の是非に焦点を当てた大手メディアの報道は皆無だった。
「大手メディアの報道は、ピントがずれています。維新と国民民主が反対したことを、さも一大事のように “野党分断” と報じていますが、もともと 2 党は与党みたいなものでしょ。不信任案に反対した一件は、2 党の立ち位置がはっきりしたということ。それこそがニュースでしょう。一番の問題は、参院選が近いのに、野党第1党を批判する報道が 結果的に自民党を利することになることを、大手メディアが分かっているのか、どうかということです」(法大名誉教授:五十嵐 仁 氏)
大手メディアは、不信任案を提出した立憲民主党をやゆするのではなく、議長不信任案に反対し、細田を守った自民党こそ批判すべきなのではないか。
おかしいのは、週刊文春の記事によれば、大手メディアの女性記者がセクハラ被害を受けているはずなのに、大新聞やテレビから「告発報道」が全く出てこないことだ。少なくても 週刊文春の記事が事実なのかどうか、自社の女性記者全員から聞き取り調査をして結果を 公表すべきなのに、実施するそぶりもない。
軍事力に依存すれば安全を損ねる
ウクライナが NATO の軍事力に頼って安全を確保しようという行為が、逆に侵略を狙っている周辺国に口実を与え、侵略を引き寄せた。軍事による安全を求めても、逆に安全を損ねて侵略を呼び寄せる、一種の逆説が生じた。これが安全保障のジレンマというものだ。武力を強化すればするほど周辺国が警戒心を高め、軍拡競争を引き起こし、逆に緊張が高まり危険になる。このことは教訓として記憶しておく必要がある。
危機便乗型改憲策動を打ち破る憲法闘争を
ウクライナ侵略で軍事力依存の危険性が目の当たりになった。それにもかかわらず、自公 政権はこれを好機と軍事には軍事との好戦的雰囲気を盛り上げ、安全保障を全面に出して 軍備の拡大、憲法改悪へ向けた動きを強めている。敵基地攻撃能力の保有、軍事予算の倍増内閣は否定するものの自民党内では核共有待望論まで出ている。
「敵基地攻撃能力」は誤解を招くとして、自民党の安全保障調査会は「反撃能力」と言い方を変えた。今のミサイルは進化していて、発射されたら迎撃が難しい。だから、ミサイルを発射される前に敵基地を攻撃しなければと考えているのだ。「攻撃」される前に「反撃」だなんて、日本語が分かっているのか。
ロシアによるウクライナ侵略という惨事に乗じて、軍事には軍事との好戦的雰囲気を盛り上げ、改憲を一挙に進めとうとしている。憲法 9 条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、 国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」としている。
ロシアに 9 条があれば、プーチンは戦争はできなかった。ウクライナにも他国に軍事的 脅威を与えないという 9 条があれば、プーチンに侵略の口実を与えなかったはずだ。軍事的な威嚇により互いにすきをうかがうのではなく、信頼によって周辺の国との関係を保てば戦争にはならない。
周辺国との平和な関係を保つ努力を放棄して、抑止力なる危険な逆説を信じていては平和を保つことはできない。日本には 9 条という政治資産がある。軍事費は抑えられてきたという経済効果、平和国家というブランドの効果がある。世界各地で人道支援に携わり、 日本は信頼されてきた。
ウクライナ戦争が契機になって安全保障に対する国民の関心が高まっている。だからこそ平和憲法の意義と 9 条の価値を知らせて行くことが重要だ。国会で改憲勢力に 2/3 の多数を与えず、憲法の書き換えを阻止するだけでなく、憲法に沿って現実を変えていく。
憲法違反を許さない政府を作っていく。これらの努力を多面的に進めていかなければならない。
参院選の特別の意義と活憲政府へ
日本政府は極端な対米従属というよりはアメリカの植民地である(首都に外国軍基地がある国は独立国とは認められない。六本木ヘリポート = 米軍基地)
紙幅の関係で詳細な説明は省略しますが、日本が第二次世界大戦で敗戦したから首都東京に米軍基地があるのではないか、また、六本木に米軍基地があることすら知らない人が 多いと思います。同じ敗戦国のドイツ、イタリアの首都に米軍基地はありません。
アメリカは中南米、ベトナム戦争、イラク戦争、アフガニスタン侵攻など、第 2 次大戦後は間違い続きの戦争をしてきた。台湾有事も懸念される。アメリカの言うままに戦争の 手伝いを続けても良いのだろうか。
国内政治でも、岸田総理は当初こそ、貧富の差の拡大を問題にし、新自由主義からの転換 や金融所得課税などを揚げていたが、次々と撤回し現状を追認している。「新しい資本主義」と言わざるおえなくなったのは「古い資本主義」が行き詰まったからだ。しかし、今の危機を乗り越える力はない。
参院選の公約で野党は物価高対策として消費税減税や消費税廃止を掲げたが、「消費税を触ることは考えていない」とかたくなな岸田総理は消費税減税を完全否定。しかし世界を見渡せば、日本の消費税に当たる付加価値税の減税を実施・予定している国が 91 ヵ国もある。なぜ日本ではやれないのか。ガソリン高騰対策で補助金を与えた石油元売りを最高益で潤わせるでけで満足してもらっちゃ困る。
法大名誉教授の五十嵐 仁 氏はこう言う。
「岸田政権がやっている物価高対策は企業支援策であり、家計を直接助けるという発想は 自民党にはありません。なぜなら、スポンサーとして献金をしてくれる大企業にしか目を 向けていないからです。大企業優先の政治でも選挙に勝ってきているので、今度の参院選 も『楽勝できるだろう』と庶民はみくびられている。国民がしっかり異議申し立てしなければ、この国は今まで通りで何も変わらず、衰退していくだけです」
自民党政権が続く限り、貧者はむしり取られるだけ。有権者はよく噛みしめて参院選に臨むべきだ。
投票率を低下させるマスコミ報道
前ページの記事の報道日は 6 月 24 日です。参院選の公示日は 6 月 22 日です。
朝日新聞の記事を掲載しましたが、NHK を筆頭に全てのメディアが与党優位を報じている。政治を支配する 3 つの戦術は①動員・②妨害・③分断です。
①自民党支持者(信者)を確実に選挙に動員する。国民の 20%~25% が利権を軸に組み込まれている。
②他方、信者以外の 75%~80% の多くの人々が政治に関心を寄せないよう妨害する。 公示された直後に「与党優位」を報じる意味は多くの国民に棄権するよう暗示をかけて 投票率をあげないようにしている。それによって、最大の組織票を持つ自民党は低投票率の方が優位になれる。また、著名人の薬物事件などを表面化させたりする。
③政権批判票を分断することに最大の力が注がれる。
自民党の基本戦術は野党勢力を「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」に分断すること。
この役目を負っているのが「同盟」だ。「同盟」は民社党の支持母体として創設された。その民社党は 1960 年に CIA が創設した政党(自民党もアメリカから資金提供を受けて創設された政党)。野党勢力の中に自民党の手先政党が創設された。
現在、「同盟」は自民党の支持組織となり、国民民主党が野党とは言えない政党になってしまった。
今回の参院選では物価高に焦点が当たり、経済無策を放置して良いのか問われている。与党が勝てば、承認されたことになり、経済は悪い方向へいってしまうでしょう。
野党のほとんどは消費税の減税を打ち出しており、参院選は消費税減税をめぐって事実上の国民投票のようになっています。
参考:消費税は目的税ではないです。従って、福祉には使われていません。使徒は大企業の減税に使われています。経団連が消費税増税に賛成するのは、消費税が自分たちの懐に入るからです。
